通信教育イメージ【ベネッセコーポレーション(9783)】は2009年10月27日、「学校外教育活動に関する調査」の調査結果を発表した。それによると調査母体(子供が3歳-高校2年生)においては、通信講座などの子供の家庭学習活動では「通信教育(定期的に郵送で届く教材)」がもっとも利用されていることが分かった。最近流行りの「携帯ゲーム機を使った学習方法」の利用者は、全体では5%ほど、もっとも多用している中学生でも9%に留まっていた(【発表資料ページ】)。





今調査は2009年3月下旬にインターネット経由で、1991年度-2005年度生まれの子供(3歳-高校2年生)を持つ母親に対して行われたもので、有効回答数は1030人。子供の性別は男女1対1。データを見るにあたっては、高校3年生の子供は対象外であることに注意しなければならない。

学習塾など「外での教室外学習活動」ではなく、家庭内で行う「教室外学習」というと、家庭教師や通信教育、さらに最近では携帯ゲームなどによる学習も頭に思い浮かぶ。それでは実際に世間一般の子供たちは、どのような手法を用いているのだろうか。「インターネット経由での調査」というバイアスがあるにも関わらず、トップについたのは「通信教育(定期的に郵送で届く教材)」。全体では4割近い人が実施していた。

子供の家庭学習活動・活動率(調査母体全体)
子供の家庭学習活動・活動率(調査母体全体)

やはり塾と比べて安価・気軽であることや、専門家の添削が行われる安心感が受けているのだろう。5人に2人というのは結構高い割合だ(40人クラスならそのうち16人は通信教育を受けている計算になる)。

市販の参考書や問題集も比較的高いが、通信教育と比べると半減。安価・手軽さでは通信教育より上なものの、添削をしてもらえないので基本的に子供だけで自己解決しなければならないのが難点。「塾の参考書・問題集」も同様だ。

最近流行りの、ニンテンドーDSやプレイステーションポータブルなど携帯ゲーム機を用いた、学習ソフトによる家庭学習活動も上位についている。もっとも割合は20人に1人でしかなく、40人クラスならそのうち2人。まだまだ少数派といえる。

「コスト云々」という話が出たが、平均の月額費用は先の【進学塾通い、中学生は約3割・時間も費用もかなりの負担に】で解説した、教室学習活動と比べれば(家庭教師以外は)随分と安い。

平均月額費用(活動率順、円)
平均月額費用(活動率順、円)

「まとめ買い」をする「一括購入の教材」が割高なのを除けば、人が直接介在するほど、費用がかかるのが分かる。特に「家庭教師」の平均約2.3万円は進学塾・補習塾にも匹敵する値であり、家庭教師で無ければならない事情がない限り、「同じ費用なら家庭教師よりも塾の方が……」と保護者が考えてしまうのも無理は無い。

元資料には学校階層別の活動率(利用率)もデータが用意されている。そこで総合の上位四位について、学校階層別にグラフを作り直したのが次の図。

家庭学習活動率(上位四位・学校階層別)
家庭学習活動率(上位四位・学校階層別)

通信教育講座は小学生では半数近くが利用している計算になる。中高生でも割合は高めだが、その値は少しずつ減少し、高校生になると「市販の参考書・問題集」が逆転する。汎用性・柔軟性の高さが原因なのだろう。

また、高校3年生が調査対象に入っていないのも一因だが、小学生・高校生より中学生の方が、家庭学習活動に注力している様子が確認できる。これは先の「教室学習活動」でも見られた現象で、世の中学生に対するプレッシャーはかなり大きめであることが予想される(もっともこれは、「高校3年生が対象外」という理由以外に、中学生の方が高校生よりも自由時間が長く、その分教室外活動に時間を割けるからなのかもしれない)。

くだんの「携帯ゲーム機用の学習ソフト」は中学生で9.0%と最多。高校生はともかくとして、小学生より割合が高い。対応しているソフトもこの学校階層向けのが多い、そしてゲーム機の保有率は中学生の方が高い現状を考えると、当然至極といえよう。