本当に飛び出ているように見えるパックマンとモンスターイメージ以前【文字や絵柄が言葉通り「飛び出て」きそうな3Dアートたち】で、人間の視界補正本能を逆手に取り、二次元の絵をまるで三次元の飛び出ているかのように見せるトリックアートを紹介した。その手法を上手に使い、クラシックタイプのゲームとしてはインベーダーやブロック崩し同様に誰もが知っている『パックマン』の主人公「パックマン」と「モンスター」、ドットなどを立体視させる試みが動画で紹介されていた。今回はこれを取り上げてみることにする(【トリガー記事:urlesque】)。






↑ 飛び出るパックマンとモンスター。
↑ 飛び出るパックマンとモンスター。

錯覚を利用した立体視の仕組みについては以前の記事にもあるように、

我々は普段から3次元構造を知覚してますが,実際は網膜に投影された2次元像から頭の中でその3次元構造を推測して理解しています。で,3次元構造を理解しようとするとき,その2次元像が得られる3次元構造というのは実は無限に考えられるんですが,我々は一番「あり得る」構造として理解しようとします。

「あり得る構造」,というのは,少々視点が変わっても安定して同じような2次元像が得られるような3次元構造ということです。わかりやすい例えを挙げるならば,立方体を真っ正面から見ると正方形に見えますが,我々は正方形を見たときは,偶然真っ正面から見た立方体として理解するのではなく,正方形として理解しようとします。

このトリックアートは,そういった人間の3次元構造知覚の仕組みを逆手にとって,ある特別な視点から見ると,他の視点から見たときとは違う3次元構造が安定して得られると理解されてしまうように上手く計算して壁に図形を描いてるわけです。

【sasapong's room】より

という、人間の「脳内の補正本能」を利用している。今回紹介したパックマンとモンスターもその補正本能をうまく活用したもの。小さなスタジオに青いテープを巧みに貼ることで、一歩引いて見ると彼らが浮き出ているかのように見える。プロジェクターや特殊な機材を使わなくとも、3D立体画像が楽しめるわけだ(笑)。

このトリックアートの制作者は他にもいくつか同様の仕組みで「飛び出るデザイン」を撮影し、公開している。そのうち一つは元記事のタイトル「X-Box」を目にして「あのゲーム機X-boxか?」と思ったが、言葉通り本当の「XなBox(箱型、転じて部屋)だった」というオチまでつけた作品。


↑ X Room Illusion!。
↑ X Room Illusion!。

実用性の有無については色々と頭をひねって考える必要があるが、技法としては非常に興味深く、そしてローコストで出来るもの。アイディア次第では非常に有意義な効果を発揮するに違いない。