先日当方の巡回サイトの一つ【メディア・パブ】に、興味深い記事が掲載されていた。モバイルアプリの調査会社【Flurry】社のレポートを元にしたものだが、アメリカの携帯ゲーム(携帯ゲーム機とiPhone)における売上高シェアで、iPhone向けのものが2008年から2009年の間に大きく躍進したというのだ。据え置き型家庭用ゲーム機も含めた、「ゲーム機+iPhone」というビデオゲーム市場のくくりで見ても、iPhone向けのものは伸びを見せ、市場に動きが見られるとのこと。今回はこの動きについていくつかグラフ化しながら書き記しておくことにする(【Flurry社のブログ:Apple iPhone and iPod touch Capture U.S. Video Game Market Share】)。
Flurry社の元記事によれば、iPhoneではこれまで3万本以上のゲームタイトルがAppleStoreで発売され、もっとも有力なカテゴリーとして位置づけられている。それがゲーム市場全体にも少なからぬ影響を与えているというのが今回のお話。Furry社はNPD(National Purchase Diary、世界的なマーケティングリサーチ会社)のデータも借り、iPhoneと比較できる立ち位置にある「据え置き型家庭用ゲーム機」「携帯型家庭用ゲーム機」に絞ってシェアなどを計算している。この10年の間ではデジタル系ゲームの売り上げシェアにおいて5%にも満たないパソコン用ゲームや、マルチプレイ系のオンラインゲームなどは除外してあるので注意が必要。
まずはアメリカ市場におけるビデオゲームソフトのシェア。上記の説明にあるように、オンラインゲームなどは除いてあるので、相対的シェアと見れば問題は無い。
↑ 米市場におけるビデオゲームソフトのシェア(売上高別)(Flurry Analytics)
iPhoneは元々シェアそのものが小さかったから約5倍に伸びてもおかしくはないが、携帯型ゲーム機も伸びているのが注目に値する。一方で据え置き型は減少。日本でも見られる現象だが、ゲーム機のトレンドが据え置き型から携帯型に移りつつある様子が見て取れる(オンラインゲームも含めると再考が必要になるが、最近では携帯ゲーム機でもオンラインゲームはあるし、iPhoneでもしかり、なのであまりバランスは変わらないのかも)。
これを「携帯可能なゲーム機」という考え方でシェアを算出すると、iPhoneの伸びっぷりが分かる。
↑ 米市場における携帯ゲーム(携帯ゲーム機やiPhone)のシェア(売上高別)(Flurry Analytics)
やはり「欲しいゲームをネット上で見かけたら、その場ですぐにダウンロードして購入できる」「単価もパッケージタイプのソフトと比べてケタ違いに安い」あたりが急成長のポイントと考えてよさそうだ。
元記事にはNPDのデータとFlurryの両方のデータを併記する形で、シェアではなく具体的な金額も書かれていた。それをグラフ化したのが次の図。絶対金額ではiPhoneは「象に対峙するアリ」程度でしかないが、そのアリが急成長を遂げている。
↑ 米市場におけるゲーム機ソフト(据え置き型と携帯型)と、iPhoneのゲームアプリの売上高(億ドル)(NPD、Flurry Analytics)
当サイトでも定期的にゲームソフトの売り上げランキングを掲載しているが、そのラインアップを見ても携帯ゲーム機のタイトルが多数を占めているのにお気付きのはず。「据え置き型ゲームがもうダメだ」というのではなく、
と見るのがよさそうだ。
ところでメディア・パブでは関連事項として、アメリカで2010年4月に発売される予定(日本でも4月末予定、日本での価格はまだ未定)の、Apple社のタブレット型コンピュータ「iPad(アイパッド)」についても言及している。やはりソースはFlurry社のものだが、掲載元は【Business Week】。その記事によれば、ゲームの開発シェアは44%。エンタメ系ソフトも合わせれば実に58%に達する。
↑ iPad向けに開発されているアプリ動向(Flurry Analytics)
新機種立ち上げ時には色々と技術蓄積のための「ならし運転」のようなソフト制作が必要なこともあり、比較的作成が容易で他機種の蓄積も活かせ易いゲームに人気が集まるのは当然といえるが、ここまでのシェア比率は「ならし運転」だけが原因ではないと見た方が良い。
むしろ上記データから確認できる「携帯式情報端末では今ゲームが熱い」という市場のビックウェーブに乗ろうとしている人たちの、行動がストレートに現れたと見た方が理解しやすい。
今件はいずれもアメリカでのお話。しかし日本でもすでにiPhoneは発売し浸透を続けているし(【トップは「バッテリーがすぐ切れる!」iPhone利用者の不満点を探る】では利用者は調査母体の3.1%とある)、iPadもまだ未確定事項が多いものの発売予定ラインアップ上にある。
日本では携帯電話が十分過ぎるくらいに普及し、その上で走るアプリケーションが大きな市場を形成している。iPadの登場やiPhoneの浸透で(もっともiPhoneも携帯電話の一種と見直した方が自然かもしれない)どのような変化を見せるのか。またその変化は携帯系情報端末だけに留まるのか、それともゲーム市場全体に及ぶのか、今後の動向が気になるところだ。
Flurry社の元記事によれば、iPhoneではこれまで3万本以上のゲームタイトルがAppleStoreで発売され、もっとも有力なカテゴリーとして位置づけられている。それがゲーム市場全体にも少なからぬ影響を与えているというのが今回のお話。Furry社はNPD(National Purchase Diary、世界的なマーケティングリサーチ会社)のデータも借り、iPhoneと比較できる立ち位置にある「据え置き型家庭用ゲーム機」「携帯型家庭用ゲーム機」に絞ってシェアなどを計算している。この10年の間ではデジタル系ゲームの売り上げシェアにおいて5%にも満たないパソコン用ゲームや、マルチプレイ系のオンラインゲームなどは除外してあるので注意が必要。
まずはアメリカ市場におけるビデオゲームソフトのシェア。上記の説明にあるように、オンラインゲームなどは除いてあるので、相対的シェアと見れば問題は無い。
↑ 米市場におけるビデオゲームソフトのシェア(売上高別)(Flurry Analytics)
iPhoneは元々シェアそのものが小さかったから約5倍に伸びてもおかしくはないが、携帯型ゲーム機も伸びているのが注目に値する。一方で据え置き型は減少。日本でも見られる現象だが、ゲーム機のトレンドが据え置き型から携帯型に移りつつある様子が見て取れる(オンラインゲームも含めると再考が必要になるが、最近では携帯ゲーム機でもオンラインゲームはあるし、iPhoneでもしかり、なのであまりバランスは変わらないのかも)。
これを「携帯可能なゲーム機」という考え方でシェアを算出すると、iPhoneの伸びっぷりが分かる。
↑ 米市場における携帯ゲーム(携帯ゲーム機やiPhone)のシェア(売上高別)(Flurry Analytics)
やはり「欲しいゲームをネット上で見かけたら、その場ですぐにダウンロードして購入できる」「単価もパッケージタイプのソフトと比べてケタ違いに安い」あたりが急成長のポイントと考えてよさそうだ。
元記事にはNPDのデータとFlurryの両方のデータを併記する形で、シェアではなく具体的な金額も書かれていた。それをグラフ化したのが次の図。絶対金額ではiPhoneは「象に対峙するアリ」程度でしかないが、そのアリが急成長を遂げている。
↑ 米市場におけるゲーム機ソフト(据え置き型と携帯型)と、iPhoneのゲームアプリの売上高(億ドル)(NPD、Flurry Analytics)
当サイトでも定期的にゲームソフトの売り上げランキングを掲載しているが、そのラインアップを見ても携帯ゲーム機のタイトルが多数を占めているのにお気付きのはず。「据え置き型ゲームがもうダメだ」というのではなく、
「据え置き型ゲーム機の需要が無くなるわけでは決してない」
「しかし携帯ゲーム機が今まで以上に伸びて、据え置き型ゲーム機のシェアを食い始めている」
「同じ”携帯可能な”ゲーム機(あるいは情報端末)の類の中でも、ダウンロードでソフトを購入できるiPhoneなどに気が移るプレイヤーが増えている」
「しかし携帯ゲーム機が今まで以上に伸びて、据え置き型ゲーム機のシェアを食い始めている」
「同じ”携帯可能な”ゲーム機(あるいは情報端末)の類の中でも、ダウンロードでソフトを購入できるiPhoneなどに気が移るプレイヤーが増えている」
と見るのがよさそうだ。
ところでメディア・パブでは関連事項として、アメリカで2010年4月に発売される予定(日本でも4月末予定、日本での価格はまだ未定)の、Apple社のタブレット型コンピュータ「iPad(アイパッド)」についても言及している。やはりソースはFlurry社のものだが、掲載元は【Business Week】。その記事によれば、ゲームの開発シェアは44%。エンタメ系ソフトも合わせれば実に58%に達する。
↑ iPad向けに開発されているアプリ動向(Flurry Analytics)
新機種立ち上げ時には色々と技術蓄積のための「ならし運転」のようなソフト制作が必要なこともあり、比較的作成が容易で他機種の蓄積も活かせ易いゲームに人気が集まるのは当然といえるが、ここまでのシェア比率は「ならし運転」だけが原因ではないと見た方が良い。
むしろ上記データから確認できる「携帯式情報端末では今ゲームが熱い」という市場のビックウェーブに乗ろうとしている人たちの、行動がストレートに現れたと見た方が理解しやすい。
今件はいずれもアメリカでのお話。しかし日本でもすでにiPhoneは発売し浸透を続けているし(【トップは「バッテリーがすぐ切れる!」iPhone利用者の不満点を探る】では利用者は調査母体の3.1%とある)、iPadもまだ未確定事項が多いものの発売予定ラインアップ上にある。
日本では携帯電話が十分過ぎるくらいに普及し、その上で走るアプリケーションが大きな市場を形成している。iPadの登場やiPhoneの浸透で(もっともiPhoneも携帯電話の一種と見直した方が自然かもしれない)どのような変化を見せるのか。またその変化は携帯系情報端末だけに留まるのか、それともゲーム市場全体に及ぶのか、今後の動向が気になるところだ。