
今データはFacebook上で展開されているソーシャルゲームのうち、開発者が異なる18のゲーム(アプリケーション、アプリ)について調査・データ取得を行ったもの。もちろん他のアプリすべてに同様の傾向があるとは限らないが、全体としての傾向はつかめる。
まずは人気5アプリの男女別プレイヤー分布。先日【「確かに」から「え、なんで!?」まで…最悪な50の発明品たち】で「面白過ぎて時間を浪費し過ぎてしまう」と反語的に褒められた(そしてかつての『Sim Farm』をほうふつさせる)Farmvilleの姿も見える。

↑ Facebookの人気ゲームアプリ・プレイヤー男女比
興味深いのはゲームによって男女構成比が大きく異なること。当然と言えばそれまでだが、女性向けのゲームは女性のプレイヤーが多く、男性向けは男性プレイヤーが多い。注意すべきはデジタル系のコミュニティではハードルが生じやすい男女の区分無く(パソコン系は女性が顔を出しにくい)、女性も気軽に参加しうる土壌がFacebook(のソーシャルゲーム)には用意されている点。
↑ Sorority Life(Sorority Life My Self Page)。ゲームというよりはファッションが楽しめるコミュニティ。
↑ Texas HoldEm Poker(How to win 1 million in facebook poker)。対人ポーカー。
今回調査対象となった18アプリでは男女比は大体6対4。対象アプリの選択次第という感もあるが、Facebookそのもののユーザーの男女構成比が45対55くらいなので、違和感はない。むしろ「女性の方がゲーム好き?」という雰囲気すら感じられる。

↑ 検証対象となったFacebookの18アプリにおける全体の男女比
あるいは男女比よりも気になるのが、年齢階層比。年代の区切りが日本と違い、また調査によって多種多様なのであまり参考にならないかもしれないが、全体的な傾向はつかめる。公開データでは上記のゲームのうち「Sorority Life」「Texas HoldEm Poker」「Farmville」についてデータを公開している。

↑ 人気Facebookゲームアプリ3作品のプレイヤー年齢階層比
↑ Farmville(A Farmville Tutorial)。
エンタメ性が強い……というか子供向けゲームの香りが強い「Sorority Life」「Texas HoldEm Poker」は比較的若年層が多数を占める一方、牧場を経営するという”大人でも分かる””憧れのライフスタイルをテーマとした”「Farmville」は中堅層以降も多くの人がプレイをしているのが分かる。特に36-45歳層で16%強を占めるのは驚き。実際、上の動画だけでなく多数のテクニック・自慢・ガイダンス的動画がYouTubeに挙げられているが、「Farmville」のは詳細な攻略系のものが多く、大人も真剣になって楽しんでいるのが分かる。
さらに今回検証対象となった18アプリ全体の年齢構成比。若年層が圧倒的多数(25歳までで過半数)を占めていること、中堅層-高齢者もゲームをそれなりに楽しんでいるのが確認できる。

↑ 検証対象となったFacebookの18アプリにおける全体の年齢階層比
●日本のソーシャルメディアなどのデータと見比べてみる
Inisde Facebookにて提供・公開されたデータは以上だが、せっかくなので日本のソーシャルメディア(ゲームアプリでは無く、会員そのものであることに注意)の現況もいくつかグラフ化し、並列確認して色々と考える材料を提示してみることにする。
まずmixiだが、先日【登録制への移行はmixiをどのように変えたか…mixiの現状(2010年3月末時点)】で最新データをグラフ化しているので、そちらをそのまま再録。

↑ mixi会員の年齢階層別比率(2010年3月末時点、再録)

↑ mixi会員の年齢階層別比率(2010年3月末時点、再録)
区分が違うので単純比較は難しいが、やや中堅層に偏りがちな感がある。
続いてモバゲータウン。直近のデータは運営会社である【ディー・エヌ・エー(2432)】の2009年度期末決算短信の報告書から得ることができる。これもまた随分とざっくばらんな区分だが、(昔と比べれば10・20代層は減りつつあるものの)いまだに20代までの若年層が多数を占めているのが確認できる。

↑ モバゲータウンにおける年齢構成(DeNAの2009年度期末決算報告書から)
これは元々モバゲータウンがプラットフォームを携帯電話メインとしていることによるもの。
先日東証一部に昇格したことでさらに知名度が上がっているGREEはもう少し年齢が上乗せされている。

↑ GREEにおける年齢構成(GREEの2010年6月期第3四半期決算説明会資料より)

Facebookが日本での浸透度はまだ未知数だが、少なくともソーシャルメディアにおけるソーシャルゲームの普及度が加速度的な上昇カーブを描いていることは間違いない(ソーシャルメディア各社のページビュー数や収益もそれに伴い、急速な伸びを示している)。これらのゲームの浸透が日本のソーシャルメディアにどのような変化をもたらすのか、そして海外からやってくる(、あるいは海外へのアクセスが容易になる)ゲームたちによって、ゲーム市場・文化はいかなる刺激を受けるのか。興味は尽きるところを知らない。