ゲームソフトの販売動向や上位陣のラインアップを見る限り、日本のゲーム機市場はおよそ携帯ゲーム機が優勢に立ち、据え置き型ゲーム機はその背中を見るような状況にある。ソフト制作時のハードルやヒットの際のリターンなどが登場ソフトのラインアップに差をもたらし、それがハードの普及率に影響し、さらに差が開く状況といえる(もっとも昨今ではスマートフォンにお株を奪われつつあるが)。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2015年10月29日に発表した、同国内のデジタル機器に関する所有・普及状況の現状と推移を調査した結果報告書【Technology Device Ownership: 2015】から、日本では無くアメリカ合衆国における据え置き型ゲーム機・携帯ゲーム機の所有率動向を確認していくことにする。





今調査の調査要件は先行記事【スマホは67%、パソコン73%、電子書籍リーダーは2割足らず…米国デジタル機器普及状況】を参照のこと。

その先行記事で言及の通り、アメリカ合衆国における据え置き型ゲーム機の所有率はほぼ横ばい、携帯ゲーム機は漸減傾向にある。もっともこれは大人が回答対象であること、携帯ゲーム機は現時点で2回しか調査が行われていないため、ぶれが生じている可能性を考慮する必要がある。

↑ アメリカ合衆国のデジタル機器所有状況(18歳以上)(再録)
↑ アメリカ合衆国のデジタル機器所有状況(18歳以上)(再録)

それでは直近における属性別の所有状況はいかなるものだろうか。まずは家庭用ゲーム機(据え置き型ゲーム機)。具体例としてXboxやプレイステーションが挙げられている。

↑ 据え置き型ゲーム機所有率(2015年3月、アメリカ合衆国、18歳以上)
↑ 据え置き型ゲーム機所有率(2015年3月、アメリカ合衆国、18歳以上)

全体では4割。意外にも女性の方が所有率は高め。年齢別では50歳未満が5割強でほぼ同率を示しているが、50歳を過ぎると急激に所有率は低下する。

目を引くのは年収と学歴。年収ではきれいな形で高年収ほど高所有率を示すのだが、学歴別では大卒以上でグンと値が落ちる。学歴と年収との間には多分に相関関係があるのだが、その関係を上回るマイナスの影響が、大卒以上の高学歴にあるのだろう。

携帯ゲーム機では値が一段と低いものとなる。縦軸の仕切り分け値が、据え置き型ゲーム機と異なることに注意。

↑ 携帯ゲーム機所有率(2015年3月、アメリカ合衆国、18歳以上)
↑ 携帯ゲーム機所有率(2015年3月、アメリカ合衆国、18歳以上)

全体では14%、男女の差は無く、年齢別ではきれいに若年層ほど高率を示している。とはいえ、30歳未満でも2割に手が届く程度。年収別では7.5万ドル以上で一段高の値が示されているが、それ以外は横ばい。学歴、居住地域別でも大きな変化は無し。

冒頭で触れている通り、日本の家庭用ゲーム機市場は多分に携帯ゲーム機優位な状況にある。今件調査は大人を対象としており、子供の動向はまた別のものとなるが、それでもなお、大きな違いには驚かされる。



やや余談になるが、今報告書ではiPodをはじめとした携帯音楽プレイヤーの所有状況も記されている。単純に音楽を視聴する他に、インターネット端末としても使用できる(Wifi経由限定だが)点が考慮の対象とされる理由なのだろう。

↑ 携帯音楽プレイヤー所有率(2015年3月、アメリカ合衆国、18歳以上)
↑ 携帯音楽プレイヤー所有率(2015年3月、アメリカ合衆国、18歳以上)

意外なことに所有性向は高めで、据え置き型ゲーム機とほとんど変わらない。属性別の変移もほぼ同じ動き。異なるのは、きれいな形で高学歴ほど高所有率を示している点ぐらいだろうか。


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